コンタクトレンズの適正使用について
近年、使い捨てレンズ等の普及により不適正な使用による障害の発生が懸念されています。平成11年度厚生科学研究費医薬安全総合研究事業「医療用具の適正使用に関する研究」においてコンタクトレンズの不適正使用についての報告が厚生省より平成12年7月26日医薬品・医療用具等安全性情報161号で行われたので紹介します。
コンタクトレンズ不適正使用の状況
研究対象:
医療機関における1年間の眼科救急外来受診者2257名のうちコンタクトレンズ障害の患者208名
レンズの種類:
ソフトコンタクトレンズによる障害が最も多く、ハードコンタクトレンズ及び使い捨てソフトコンタクトレンズによる障害がほぼ同数であった。わが国における販売数を考慮するとハードコンタクトレンズは相対的に救急外来受診率が低く、使い捨てコンタクトレンズは受診率が高かいといえます。
不適正使用の原因:
1. コンタクトレンズを装用したままの睡眠、過剰装用が多くみられました。
レンズを装用したままの睡眠は角膜への酸素供給不足の要因となり、角膜上皮細胞の代謝不全を生じ、角膜上皮びらんなどの眼傷害を起こします。
2. レンズの装用脱着不能、装用脱着時のトラブル及びレンズ装用に関する指導不足により適切な使用、装用がなされなかったと考えられるケースもみられました。
3. 消毒、洗浄法が不適切と考えられたケースもありました。
水道水のみの洗浄であったり、保存液の調製に水道水や飲用ミネラルウォーターを使用している例が多く、アカントアメーバ角膜潰瘍症例の多くが水道水を何らかの段階で使用していたものでした。よってレンズケアにはレンズケア用精製水の使用が推奨されます。
使い捨てレンズのトラブルでは、いったん眼からはずした1日用使い捨てソフトレンズを再装用することによるトラブルも報告されています。
安全対策
コンタクトレンズの適正使用に関する情報については、すでに添付文書等に記載され注意喚起が行われています。しかしながら、装着者自身の取扱いに問題がある場合も少なくなく、以下の点について、注意することが必要です。
(1)定期的検査の重要性
眼痛時、連続的な異物感を感じるときなどにはレンズ装用を中止して専門医を受診することは言うまでもなく、自覚症状がない場合であっても障害を生じる場合もあり、定期的に検査を行う必要があります。
また、使い捨てコンタクトレンズのデザインは限られており、必ずしもすべての患者にフィットするとは言い切れないケースがあるため定期的に検査を行う必要があります。
(2)ソフトコンタクトレンズ装着前の滅菌処理の徹底
ソフトコンタクトレンズの消毒を行わず、保存液中で長期保存した場合には、レンズ保存液より細菌のpseudomonasを検出した例もあり、適切な処理を行う必要があります。
(3)レンズケア用の精製水使用の推奨
アカントアメーバ角膜潰瘍症例の多くが何らかの段階で水道水を使用しており、水道水中のアカントアメーバの汚染が原因と考えられる。コンタクトレンズの洗浄、保管には水道水ではなく、レンズケア用精製水を使用することが必要です。
(4)ハードコンタクトレンズの洗浄の徹底
ハードコンタクトレンズに消毒過程は必要ないが、除蛋白質操作を含む適切な洗浄が必要であるので指示に従った洗浄を適切に行う必要があります。
(5)1日用使い捨てソフトコンタクトレンズの適正使用
1日用使い捨てレンズを装用したままの睡眠は角膜への酸素供給不足の要因となり、角膜上皮細胞の代謝不全を生じ、角膜上皮びらんなどの眼障害を起こすおそれがあるので、定められた装用時間内の装用とし、就寝前には必ずはずしましょう。