1999年発表された『鼻アレルギー診療ガイドライン』(GL)に沿って紹介しましょう。
1. 広義の抗アレルギー薬
(1) 第一世代抗ヒスタミン薬
抗ヒスタミン薬といえば眠気の副作用で有名ですね。眠気の他に全身倦怠感の現われる人もいます。ほかに口が乾いたりすることもあります。催奇形成が認められているので、妊婦さん(特に初期)は使用してはいけません。また、緑内障のある人や前立腺肥大のある人も使用できません。
(2) 狭義の抗アレルギー薬
花粉症の基礎薬剤的存在ですが、効果が現われるのに2〜4週間要するので、急性期は点鼻のステロイド剤や点眼薬などを併用するとよいでしょう。
これらの群の薬剤で気をつけることは、飲み合わせです。
また、この群の薬剤も胎児に対する安全性が確立していないので、妊婦さんには使用しない方がよいでしょう。
2. ステロイド薬
ステロイドの抗炎症作用を期待します。ステロイドは一般に効果が強く、効果発現が早く(1日もすれば効果あり)、副作用は少なく、鼻アレルギー症状によく効く、局所(鼻など)投与でよく効くという印象があります。一年以上連用しても使用量が微量のため副作用が起きることは少ないとされています。しかし、まれに鼻腔内で刺激感があったり、乾燥感、鼻血が出ることがあります。ステロイドの飲み薬は、重症例で使用することがまれにあります。
3. 自律神経作用薬
鼻閉に対してα交感神経刺激薬という分類の薬剤が点鼻で使用されることがあります。連用すると、鼻閉が増強するので1日1回に使用をとどめ、1〜2週間使用したら休薬します。
鼻水の多い時には、抗コリン薬に分類される点鼻薬を使用することがあります。早く効きますが、効果持続時間が短く1日に3〜4回の使用が余儀無くされます。
4. 漢方薬
小青竜湯、葛根湯、小柴湖湯を使用する場合があります。
アレルギー性結膜炎の治療の実際
アレルギー性結膜炎の典型的な症状は、かゆみです。その他には、結膜の充血、涙目、目やに、異物感などがあります。
1.抗原回避としての人工涙液
眼の表面に飛び込んできた異物を洗い流す目的で、人工涙液を使用すると有効的です。
2.抗ヒスタミン作用のない抗アレルギー薬
抗ヒスタミン作用のない抗アレルギー点眼薬による主な副作用には、刺激感や結膜充血、角膜びらんなどがありますが、いずれも軽度です。エリックス点眼薬で接触皮膚炎が報告されています。
花粉症の人の中には目はかゆくてしょぼしょぼするし、鼻はつまって困るといったように目と鼻の症状が一緒に出る人が多いのではないでしょうか?点眼薬の副作用の回避のところで点眼後目頭を押さえなかったりすると薬物が鼻涙管を通って消化管に向かうというお話をしました。花粉症でお困りのみなさん、これを利用して点眼しながら、鼻にも薬が届くといった一石二鳥のような方法をしてみませんか?
花粉症のうち目症状の他に鼻症状もあるという方は、点眼後、目頭を押さえないで目をぱちくりぱちくり、目玉もぐるぐるなんてしてみましょう。そうすると、普段は薬物が鼻涙管を通って消化管の方へ移動すると副作用につながる可能性があるのでおすすめしていませんが、この場合はこれを利用してアレルギーの点眼薬の成分を鼻涙管の方に流します。薬物が鼻涙管を通って消化管の方に行く途中には鼻の奥の鼻粘膜を通過します。そうすれば、目にも効く、鼻にも効くというわけです。
一度、試して下さい。
代表的なステロイド点眼薬
ベミロタストカリウム
アレギサール点眼液・ペミラストン点眼液
クロモグリク酸ナトリウム
インタール点眼液
アンレキサノクス
エリックス点眼液
トラニラスト
リザベン点眼液、トラメラス点眼液
3.抗ヒスタミン作用のある抗アレルギー薬
抗ヒスタミン作用のある抗アレルギー点眼薬による主な副作用には、刺激感や結膜充血などがありますが、いずれも軽度です。
代表的なステロイド点眼薬
フマル酸ケトチフェン
ザジテン点眼液
4.ステロイド剤
副腎皮質より分泌されるステロイドホルモンの抗炎症作用を利用します。もっとも重要な副作用は眼圧上昇です。その他のステロイド点眼薬による主な副作用には、感染症の誘発(真菌・ヘルペスウイルス)、角膜穿孔、創傷治癒遅延、ステロイドによる緑内障や白内障などがあります。
代表的なステロイド点眼薬
フルオロメトロン
フルメトロン点眼液・オドメール点眼液
酢酸ヒドロコルチゾン
日点・HCゾロン点眼液
酢酸プレドニゾロン
酢酸プレドニゾロン点眼液
プレドニゾロン
日点・PSゾロン点眼液
メタスルホ安息香酸デキサメタゾンナトリウム
サンテゾーン点眼液、ビジュアリン点眼液
リン酸デキサメタゾンナトリウム
点眼・点耳デカドロン液
リン酸ベタメタゾン
リンデロン点眼液・サンベタゾン点眼液
フラジオマイシン・リン酸ベタメタゾン
眼・耳科用リンデロンA液
5. 非ステロイド性抗炎症点眼薬
眼の炎症を抑えます。長期連用により難治性の角膜上皮障害を生じるので注意が必要です。とくにインドメタシン、ジクロフェナクナトリウムでその傾向が強くなります。その他の主な副作用は、点状表層角膜症、角膜びらん、結膜充血、目やに、刺激感、痛みなどです。
代表的な非ステロイド性抗炎症点眼薬
インドメタシン
インドメロール点眼薬
ジクロフェナクナトリウム
ジクロード点眼薬
プラノプロフェン
ニフラン点眼薬、プロラノン点眼薬
薬物療法
花粉症の治療は、症状の現われる時期に個人差がたいへん大きいこと、重症度や経過にも個人差があること、同じ人でも年によって症状の変化があることなどから一定した治療は難しいとされています。また、予防的な治療も難しいとされています。
しかし、花粉症の治療は、初期療法、導入療法、維持療法、脱感作療法、外科的療法に大別されます。
初期療法
花粉が飛ぶ前もしくは飛んでいても大量に飛ぶまでの時期の早期から薬を飲んでおくと、症状悪化が予防できるというものです。これが結構大事だったりします。
この治療法の時には、速効性で抗ヒスタミン作用をもつ薬剤をお勧めします。抗ヒスタミン作用をもたない薬剤の場合には、花粉が飛ぶ前から薬を飲む必要があります。
導入療法
多くの人はこれにあてはまります。すなわち、症状がひどくなって医療機関を受診するというもの。この時点では、鼻の粘膜などの過敏反応が進行した状態であって強力な薬物治療で症状や鼻粘膜の状態などをひどくなる前の状態に戻す必要があります。
こんな時は、一時的にステロイド剤の内服や外用剤(点鼻、点眼)の使用をしたり、抗アレルギーの内服をします。
減感作療法
減感作夜療法というのは抗原特異性免疫療法(Antigen-specific immunotherapy : Ag-IT)ともいわれています。まず、問題なのは効果が出るまでに2〜3年かかるということ。スギの抗原エキスを皮下注するのは主流です。注射の方法は、通年法と季節前法とがあります。
通年法:花粉症シーズンが終了してから1年間かけて維持量までもっていきこれを3年続けます。
季節前法:通年通うのは難しいということからシーズン前年10月ぐらいから週1回ずつ注射し、12月になったら週2〜3回注射して濃度を高め、花粉の飛ぶ直前まで行ないます。
有効性はといえば、メーカーにより異なり、日本で鳥居薬品のものが承認されています。バイエル社製のは自己診療となります。鳥居薬品製が62.7%、バイエル社製が82.2%とされています。薬を全く使用しない群でも、22.0%、31.3%の有効率とされています。
近年、新しい免疫療法の開発(修飾抗原、新しい抗原投与法、ペプチドの利用、抗体療法など)、新しい免疫療法の治験(プルラン修飾スギ花粉抗原エキス:CS-560)が行なわれつつあるので、今後に期待できそうですよ。
1.鼻粘膜・粘膜下組織の除去
どの術式も外来で可能です。表面麻酔や局所麻酔で行なうことができます。
レーザー手術(CO2)
有効率90%
再発率5%
下鼻甲介粘膜切除
鼻閉に有効
5年間で鼻閉に72%の有効率
電気凝固術
有効率100%
再発例はあり
トリクロル酢酸の塗布
鼻閉に対して有効率88%
14ヵ月で有効率86%
2. 鼻腔形態異常の矯正
ヴィディアン神経遮断術
鼻水に有効
粘膜下下鼻甲介骨切除術
鼻閉に有効
鼻中隔彎曲矯正術
鼻閉に有効